差別戒名の系譜――偽書『貞観政要格式目』の研究

牧 英正 著

大阪市立大学法学部名誉教授/日本法制史専攻

3月1日発刊

定価:本体価格1500円+税

被差別部落のいくつかに、通常の戒名には決して用いられないような人間を侮辱する語句や文字が使われた墓石や過去帳が残されている。いったいこれはどうしたことか。

戒名や法名は、仏門に入ったとき僧から与えられる名である。これはほんらい現世の身分差別には係わりのないはずであった。ところが17世紀の中ごろ、世俗の身分によって戒名の使い分けを記した書物が立て続けに三度も発行された。出版元は異なるが同内容である。

その本の題名は「貞観政要格式目」とつけられていた。これは唐代の古典「貞観政要」、日本の9世紀後半に編纂された「貞観格」「貞観式」、また中世の法律に用いられた「式目」などを集めたような大げさな書名である。

この本を読んだ僧侶は、日本の法律で決められたことなら従わなければならないと考えた。信じられないことであるが学識のある僧侶までこれに従い、それをもとにして著述をしている。この書物の書かれた時期は、さらにさかのぼり、いくつもの写本が残されている。

身分差別を追求してきた著者が、差別戒名の根源をたずねて辿りついたのが本書であった。本書はこれまで取り上げられることはなかった。何が書かれているか、何時、何者が書いたのか。これは身分差別の問題を究明する不可欠の資料であることはもちろん、中世史の研究にも重要である。

本書には、原典の図版も多く添えられており、差別戒名研究のための決定版である。

 

  • 判型 : A5 
  • 頁数 : 184頁
  • ISBN : 978-4-907244-06-4

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