大阪「断刑録」―明治初年の罪と罰

牧英正・安竹貴彦 共著

本体価格2,000円+税

2017年10月31日発刊予定

維新期大阪の刑事裁判記録(断刑録)を、「旧幕府法期(明治2~3年末)」「新律綱領期(明治4~5年末)」「大阪裁判所時代(明治6~9年)」に分けて採録。近代化の中で庶民の姿が浮きぼりとなる。

***目次紹介***
まえがき
Ⅰ 大阪府時代前期(旧幕府法期・明治二~三年末)
いちばんはじめの事件
前代のあと始末
「ぜんざい屋事件」の密告者を殺害/ 亜米利加(アメリカ)みやげで災難/ 米商人を天誅と称しさらし首
/ 成り上がり御親兵の失態
*[解説1] 明治初年大阪府の刑罰体系 ─ 幕府法の再利用
まぼろしの多田隊
「新組」結成のたくらみ/ 多田隊事件余滴 ─ 津山の贋金鋳造未遂事件
新政のきしみ
不満の若者らが打ちこわし/ 下肥騒動/ 部屋住みの苦境
*[解説2] 吟味と仕置の見聞記
主殺し・親殺し
塩漬けの死骸を磔─ 明治元年の親殺し/ 古主夫婦殺しで磔 ─ 凄惨な死闘の果てに/ 元主人の妻へ傷害のうえ放火
*[解説3] 断獄役人の懐旧談
贋 金(1)― 戊辰戦争の終結以前
郡上藩の贋金づくり/ 太政官札の偽造
*[解説4] 新政府の通貨偽造対策 ― 戊辰戦争の終結と偽造宝貨律
贋 金(2)― 大阪府知事の即決
イカの甲で一朱銀を偽造/ 一両楮幣を偽造行使/ 偽造困難な紙幣を ─ 大阪府の上申/ 寺子屋師匠 贋札で買春/ 一分楮幣贋造
痴情の果て(1)
離縁した妾に路上で刃傷/ もとの男とよりをもどすために夫を毒殺/ 清僧と後家の密通/ ふたりの男を行ったり来たり/ 毒薬斑猫のききめ
遊女の受難
茶立女を虐待死/ 恋しい女と心中のつもりが……
*[解説5] 幕末から明治初年の大阪の遊所
牢は避けたい
牢番へわいろ/ 早く「下宿所預け」にして(1)/ 早く「下宿所預け」にして(2)
*[解説6] 大坂町奉行所の牢と大阪府の牢
徒 刑 ─ 新しい刑罰
外役徒刑囚の逃亡/ 徒刑囚の情事/ 徒刑場部家頭の密通
*[解説7] 初期徒刑場と徒刑
かたり
詐欺師上総介/ 天狗がとり憑いた/ 事実無根のかわら版の発行/ だまされたほうも悪い/ お上をかたって大金強奪/ 余聞 ─ ひとりだけ死刑のわけ
川口居留地 ─ 西洋人との出会い
英・蘭居館から盗み 居留地で三日さらし/ 外国人商会から持ち逃げ/ 所預け中に英国人から悪金売買の依頼
*[解説8] 川口居留地
被害者側からの減刑願
主人の金一五〇〇両を持ち逃げ/ 不埒の下人を殺害/ 護身用のピストルが暴発
*[解説9] 大坂町奉行所から大阪府へ(1)― 近世の大坂町奉行所と吟味筋
市井の触法(1)
男女混浴の禁止違反三件/ 石打 ─ 手荒い婚礼祝い/ 大阪町人らの私刑(リンチ)/ 下手な物まねから死人が出る
*[解説10] 大坂町奉行所から大阪府へ(2)― 大坂町奉行所の終焉
身分逸脱
町人の身分で乗馬/ 町人の身分で帯刀/ 身分をいつわり泊茶屋で遊興/ 入湯拒否に憤って不法におよぶ
*[解説11] 大坂町奉行所から大阪府へ(3)― 大阪府の成立と旧幕臣たち
Ⅱ 大阪府時代後期(新律綱領期・明治四~五年末)
外国人の犯罪
ドイツ人が竈の修理人に暴行 ─ 条約締結国の場合/ 清国人の詐欺取財 ─ 条約未済国の場合
強 盗
三井組から大金強奪 ─ 馬鹿むすこに親馬鹿/ 石割強盗/ 藩邸の門番が路上強盗/ 三人を謀殺強盗 ─ 大阪府は梟首にしたかった
*[解説12] 新律綱領― はじめての全国統一刑法典
職務違反
大阪府権大属の収賄/ 府の再伺いで命拾い/ 郵便役所飛脚人足の不始末/ 「遊所仲間年行事」が駆黴院患者の遊女と密通/ 他事記載で徒刑場送りにする/不埒の取調べ
*[解説13] 明治二~五年ごろの大阪府の断獄関係者
流 言
高野山末寺住職が函訴/ 軍事病院が小児を誘拐のデマ/ 狐つきと称し世人を惑わす/ まじないのお札売り
痴情の果て(2)
浮気な女房を斬ったはずが/ 徒刑場の恋/ いったん離縁 再縁の後に姦夫を殺害/ 旧幕府の能役者 娘二人と密通/ 同居人が妻と密通、第三者による私和/ 離縁した妻を殺す
子どもと貧困
小児を非人に売る/ もらい子殺し三件
*[解説14] 司法職務定制 ― 司法と行政の分離をめざして
贋 金(3)
贋金一味を誤判で釈放/ 小浜藩贋金づくりの余波/ 交錯する四件の贋金づくり/ 贋金づくりの島から脱出
遊女と遊所
抱えの食焼奉公人にリンチ/ 僧侶が遊女を身請け/ 泊茶屋渡世の差止違反
市井の触法(2)
男女混浴/ 貧院を脱走二件/ 新田の支配人 小作人に自じ 儘ままに融通/ 珍商売豚相撲?/ 幼年者が戯射した弾丸で傷害/ 相撲取りが無銭飲食/ 提灯に菊の紋章/ 民間の「新律綱領」は没収
Ⅲ 大阪裁判所時代(明治六~九年)
*[解説15 ] 大阪裁判所の設置
最後の仇討ち
士族の果て
長崎の士族 女と欠落 窃盗/ 酩酊の士族 人力車夫に陰嚢をつかまれる/ 剣術師範の末路/ 収監中の佐賀の乱賊徒幹部に収贖金
*[解説16] 改定律例 ― 刑罰の近代化とその限界
政治批判
関新吾、讒謗律・新聞紙条例違反事件/ 川上音二郎の選挙批判(番外)
*[解説17] 開設当初の大阪裁判所
人 災
払下げ弾薬の処理中暴発し三〇人あまり死亡/ 失火による「座摩の大火」/ 歌舞伎役者失火で死傷者多数
脱 籍
新門辰五郎の世話で兵隊となり官軍に転じ帰郷/ 清水次郎長の世話になる
親と子異聞
父の教令に違反し遊蕩止めず/ 義母に情交を申し懸け拒まれて傷害/ 老母の扶養のため、懲役囚を出所させる/ 酔うて実母を槌で殴打し懲役終身
強盗・窃盗など
強盗犯 斬罪の指令到着の日、同囚の脱獄計画を首報/ 出納寮に新金貨輸送中窃盗/ 偽金を用い、通行人から詐取/ 仕切金に偽金封 逃亡 出家 自首/ 海賊 破牢 また強盗
贋 金(4)
贋札と知らずに行使/ 上知令をめぐるごまかしと古貨幣偽造/ 贋金と知って行使─ 慈善家の偽造犯
芸娼妓の解放
*[解説18] 遊女解放令
切ほどきの妻を再度和売/ 娘を和売/ 和売した娘の解放を受けず/ 娼妓と駈け落ち/ 娼妓はまの運命
/ 娼妓と遊んだが金がなくて逃げる
囚人あれこれ
流刑地を脱走/ 脱獄成功後に娑しゃば婆で捕まる/ 懲役人脱走に失敗/ 懲役場は寒い/ 監房内でばくち
/ 昼飯を二人分取って露見/ 檻倉内の臭い飯/ 死刑囚が同囚の減刑を図りいつわりの破牢/ 同囚の集団脱獄を阻止
*[解説19] 監獄則 ― 行刑の理想と現実
痴情の果て(3)
女に振られ周囲の人に傷害/ 密通逃亡したら元夫は離縁していたので無罪/ 婚約者に縁組を迫られて殴打
/ 相手を確認できないが姦通の妻を殺害/ 男六人と和姦/ 密通妻と姦夫と祖母を傷害/ 娼妓と無理心中未遂/ 遊芸になじむ若い男女の心中未遂
商 売
堂島米会所空取引事件/ 藤田伝三郎偽証一件/ 珍商売 笑い蠟燭/ 渡し守の詐欺取財/ 洋食兼玉突き業者の名案/ 「小学教授法」の偽版/ 天皇皇后の写真を販売/ 新発明の機械利用を多勢で妨害/ 木賃宿の主が止宿人の死屍を投棄
番人(巡査)をめぐって
番人の部落差別に抗議/ 番人、鎮台兵と衝突し上司に実を告げずに逃亡/ 臆病な裁判所逮部/ 姦通の風説により住職を恐喝/ 犬に吠えられ、警棒がとんでいった/ 横柄な男が警官と知らずつかみあう/ 辞令を破棄して/ 免職巡査の憤り/ 戸籍を詐称して邏卒となる
酒の災い
住吉神社の祭礼をめぐり喧嘩/ 仲士が同僚を刺殺、正当防衛か/ 酒乱の兵隊、役所に放尿で「不応為」
/ 医学修行の藩士 大酔して殺人
市井の触法(3)
島津源蔵、錬金術/ 酔って路傍の肥桶倒す/ 電信設備を壊す 二件/ 丁稚がイギリス人に悪態
/ すいか泥棒/ 兄の身代わり受験/ 裸の郵便屋/徴兵を恐れて逃亡
あとがき

  • 判型 : 四六
  • 頁数 : 480頁
  • ISBN :

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