人権ブックレット21号 女人禁制――伝統と信仰

一般社団法人和歌山人権研究所 編

2020年7月14日発刊予定

本体価格:800円+税

現代においても女人禁制の課題は残されている。いまだに女人禁制の制度が残されているのが大相撲と宗教的聖域(大峯山等)である。本書は、宗教的に女人禁制の地であった高野山の女人禁制の歴史と、大相撲における実態を論じたものである。
歴史的に日本文化が男尊女卑であったと思われている節があるが、女性の相続権や所有権などからは女性が排除されていたとは言えず、前近代において姉家督やまたは離婚手続きなどで、女性の権利が認められていたことが証明されている。
父権制、母権制の区別でいうなら、両権制とも指摘されている。その点については、よく言われるように権利能力において制限を加えられたのは明治民法からと言われている。近代化のなかで女性の権利の低下が認められるのである。
本書では、前近代の女人禁制のあり方を高野山文書群の一つである「金剛峯寺日並記」から分析し、さらには、廃仏毀釈の嵐吹き荒れる近代化のなかで高野山真言宗の宗教的アイデンティティを女人禁制との関係で示唆を与えるもの。そして宗教的文化の一つとしての土俵からの女性排除を主張する大相撲のあり方を詳細な資料で論ずるものである。
女人禁制を近代的人権から考えるのは当然であるが、その思想的な位置づけを今一度じっくりと考えることが人権文化を日本に定着させるためにも必要である。

・・・目次紹介・・・

「金剛峯寺日並記」にみる女人禁制    矢野治世美 熊本学園大学准教授

はじめに
1 女人禁制の方法
  棟杭・制札の設置/大坂町中に建てられた制札/七口での女性の差し止め
2 高野山の女人堂
 女人結界と女人堂/道中日記に記された女人堂/旅は安全?/遠忌と女性参詣者/女人堂の機能
3 結界を越えた女性たち
  前代未聞の事件/是非共大師様へ参詣いたし候
おわりに

高野山の女人禁制について     木下浩良 高野山大学総合学術機構課長

はじめに
1 空海による高野山の結界
2 高野山は異界の山中他界
3 空海による結界の範囲の縮小
4 丹生明神と高野山の僧侶
5 高野山の禁忌〈タブー〉と恐れ
6「恐れ」を超える大師信仰
7 女人禁制全廃までの経緯
おわりに

大相撲の女人禁制・考          藤里 晃 和歌山人権研究所 研究員

はじめに
1 過去にも土俵の「女人禁制」に関わるできごとがあった
①1978年、「わんぱく相撲東京場所」で準優勝の小学5年生の女の子が蔵前国技館(当時)での「東 京一」を競う大会に出場できなかった/②1990年、森山眞弓官房長官、内閣総理大臣杯の授与をと の意向に対して「待った」/③1991年、「わんぱく相撲」徳島県美馬郡予選で、小学5年生の女の子
が優勝したのに、国技館の土俵に上がれなかった/④太田房江大阪府知事が、知事賞授与で土俵に上が りたいと提起するが、日本相撲協会は拒否/⑤内館牧子氏の「女人禁制」維持発言とそれに対する反論 /⑥女性客が土俵に/⑦断髪式
2 疑問だらけの日本相撲協会理事長談話
①大相撲舞鶴場所で、救命中の女性に対して「女性の方はお降りください」とアナウンス/②中川智子宝塚市長、「土俵の上からあいさつできない。これはつらいです。悔しいです」とあいさつ/③元女相撲の大関若緑が巡業の土俵に上がって、あいさつをした/④静岡場所開催の4日前に「ちびっこ相撲」に女の子の参加はダメという連絡(V)/⑤国が「国技大相撲」と決めたのか(e)/⑥「伝統」は変えることができないのか(O)/⑦「意識調査」の実施についてどうなっているのか
3 大相撲の「女人禁制」
①相撲の歴史/②土俵の歴史/③明治時代/④土俵の「女人禁制」はいつからか、はっきりしたことはわからない/⑤女相撲/⑥「わんぱく相撲」、女子の全国大会が開催される/⑦宝塚歌劇団と歌舞伎など
4「女性差別」を認めようとしない日本相撲協会は、憲法、法令違反
①土俵の「女人禁制は女性差別だ」ということについて(K)/②相撲協会に対する税の優遇措置をやめること/③国会議員の「日本相撲協会の女性を土俵に上げないことは、女性差別ではないのか」という指摘に、政府関係者の「相撲協会が自主的に判断すべきもの」という答弁には、納得がいかない
おわりに

あとがき               一般社団法人和歌山人権研究所事務局

  • 判型 : A5
  • 頁数 : 130頁
  • ISBN : 978-907244-40-8

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